手仕事による上品でソフトな出来栄え

ボディに襟(台衿)を付ける工程と、袖にカフスを付ける工程は手仕事にて一針一針丁寧に立体的な曲線を縫い合わせていきます。

縫い合わせの線が見えない為、上品ですっきりとした印象になります。また、ミシンで強く縫い合わせない事により、適度な伸縮性も得られソフトな着心地が得られます。

襟台・襟羽根・フラシ芯の関係性

襟羽根部分に使用しているフラシ芯(貼り付けない芯)を襟元まで、襟台の中にしっかりと差し込んで縫製を致します。

これにより曲線的でより立体的な美しい襟の形状が形成する事が出来ます。

繊細且つ高級感のあるハンドステッチ

襟周り、カフスの袖口周り、首元から肩先に至る肩線、袖付けのアームホール部分、そして背中上部のヨークのボディとの境目の全てにハンドステッチを施します。

細番手の柔らかな高級素材を使用する際にも主張し過ぎ無い様に、繊細なステッチを職人の手で一針ずつ施していきます。高級品の証でもあるハンドステッチ。上品で且つさりげないアクセントを演出します。

ドレスアップと機能性のギャザー

袖のボディとの縫製部分、ボディ後ろ身のヨークとの縫製部分、そして袖のカフスとの縫製部分のそれぞれに細かいギャザーを入れて縫製致します。

技術を要するギャザー。各所にゆとりを作り出す事で体の動きを容易にする機能性と共に、見た目のドレッシーさも作り出し、高級シャツの雰囲気を醸し出してくれます。

スーツと同じ袖付けセットインスリーブ

左上画像。こちらは一般的な袖付けのシャツになります。平置きすると肩からまっすぐ直線的に袖が付いているのが判ります。Tシャツと同じような袖付けです。

それに対してセットイン手法の肩付けを採用したシャツを平置きすると右上画像の様にやや下に向かって袖が着いた状態になります。これは下に向けて付いているのではなく、下図の様に立体裁断されたボディ及び袖を横方向から付けている為にその様になります。スーツやテーラードジャケットと同様です。

一般的なシャツ袖は横向きに袖が付いている為、脇の下にどうしても生地が多く余ってしまいます。それに対してセットインは生地の余りを抑えられるのでスーツを着用した際の脇の下のもたつきも最小限にする事が可能でより快適に着用出来ます。

立体的な美しさが最大のメリット

セットインはスーツと同様で袖とボディが一体で立体的になるように設計されていますので、袖とボディの美しい一体感のあるシルエットを
表現する事が出来ます。

またアームホールの袖付け部にギャザーを採用する事で、肩先から二の腕にかけてのゆとりが作られ、下方向についた袖にも関わらず快適な
着用感を実現し、且つより曲線的な立体感を実現しています。

極限の運針数27~30針

運針数とは1inch(2.54cm)当りの針を運ぶ数の事で、数が多いほど細かく繊細で高級とされています。通常の一般的なシャツで12~16程度、当店のBASIC LINEでは20針前後となります。24針ともなると、かなり拘りの強い高級なシャツではないと見受けられません。

そんな運針数を当縫製では27~30という極限まで細かくしています。実に繊細で美しい縫い線。針が10回上下しても1cmも進まないと
いう丁寧に縫い上げた極上の縫製を味わって下さい。

デザイン性と付け易さ向上の鳥足掛け

4つ穴釦に交差する様に糸を掛けるクロス掛けが一般的なシャツボタン付け方です。マシンによる釦付けでは基本はクロスとなります。

それに対し、一つの穴から残りの3つの穴へ掛けられ、鳥の足の様にな形状のボタン付けを鳥足掛けと言います。ハンドの証でもある鳥足掛け。しっかりと釦の下にも糸を巻き脚を付ける事を根巻きt言いますが、根巻きの位置がやや中心からずれている事により釦の着脱時に斜めに傾く事で厚めの釦でも着脱しやすいのが特徴です。

また、個性的な見た目の楽しさもあり、デザイン面でもさりげない主張をしてくれますね。

投稿者プロフィール

bespokei
横浜のオーダースーツ専門店
「BESPOKE.I テーラーアイハラ」
創業約70年の二代目店主。縁の下の力持ちでありたいをモットーに様々なオーダー品の提案を行っています。上質に触れて頂きたく日々奮闘中。
次の記事
オータムフェア開催